1本のバナナの陰に、農民の涙がある。「フィリピン産バナナ」の残留農薬から見た、生産者と多国籍企業との間の著しい不平等契約!
◆「社会の裏側!」137
やあ、こんにちは。
山田博士(ひろし)です。
お元気でしたか!
今日もまたお逢いしましたね。
嬉しいです。
地球という星を平和にしたい。
そして子どもたちの頬(ほほ)に流れる涙をストップさせたい。
ぼくはいつもそれを望んでいます。
そのために、「食べもの」が人を180度変え、家族を変え、
文明を変え、歴史を変えてきた、重い事実を、
ぜひ知ってほしい……。
★概略
それは、2018年の12月のことでした。
その年の12月の19日までに、「フィリピン産バナナ」の
残留農薬の検査をしなさい……ということだったんですね。
基準値を超える殺虫剤の「フィプロニル」の残留が相次いで
発覚したためなんです。
しかも、輸入するすべてのバナナに「ロット単位」での検査
義務付けでしたが、こんなこと、初めてのことなんですね。
よほど……のことだったのでしょう。
そう、よほど……でした。
★★★
その年の9月に、「フィプロニル」の残留が見つかったため、
同省は検査対象を30%に増やして対応を強化していたんですね。
でも、それでも違反が相次いだ……。
東京都内の輸入業者によりますと、違反は、小規模の輸入業者が
中心だというのですが、「フィリピンの産地は、対応にばらつきが
あり、徹底できていないのではないか」とも言います(出所:
「日本農業新聞」2018年12月20日)。
でも、向こうで対応していない……で済むことではありません。
もしそんなことでは、日本で購入する消費者はたまったものでは
ありませんよね。
財務省の貿易統計によりますと、2017年のバナナの輸入量は
99万トン。
そのうち、フィリピン産は79万トンを占めるんですね。
約8割ほどになりますか。
だから、影響力は、かなり大きいものがあります。
★★★
ところで……この「フィプロニル」……という農薬。
あまり、この名前、聞いたことありませんよね(笑)。
でも、ドッコイ。
これは、「バイエルクロップサイエンス社 (Bayer CropScience)」
の前身である「ローヌ・プーラン社」が開発した、フェニルピラ
ゾール系殺虫薬のひとつ、なんです。
まあ、こんな難しい名前なんぞ、どこかに置いておいてもらって
結構なんですが、じつはこれ、あの「ネオニコチノイド系農薬」と
どちらが「優秀か」なんて争っているほどの関係なんですね(笑)。
つまり、ミツバチがいなくなった原因の一つだともささやかれて
いるほどの農薬。
かなり強毒な内容なんです。
★★★
そう、ミツバチの蜂群崩壊症候群(ほうぐんほうかいしょうこうぐん)の
原因仮説の一つだ、ともされております。
こりゃ、かなりヤバイですぞ(笑)。
ぼくたちの身近でも、ゴキブリや、ノミ、アリ、シロアリなどの害虫
駆除(くじょ)に用いられたりしております。
つまり、神経伝達物質の作用を阻害してしまうわけですね。
そうすることで、広範囲の昆虫に対し高い殺虫効果を持つわけです。
なかなか……怖い物質ですぞ。
今回のこの内容、ぜひ注意深く、ご覧下さい。
あなたの日々の暮らしに直結しています。
★目次
★(第1章)
こうした「フィリピン産バナナ」から、「基準値を超える殺虫剤
のフィプロニルの残留」が相次いで発覚したことを述べたいのでは
ありますが、ただ、じつはこれ、いわばもっと大きな問題の序幕に
過ぎないのですね。なぜなら……
★(第2章)
日本に輸入されるバナナのうち、フィリピン産は79万トンで、
全体の約8割ほどになります。だから、影響力はかなり大きいん
ですね。ところがこの農薬の「フィプロニル」は、あの「ネオニ
コチノイド系農薬」とよく似ており、ミツバチがいなくなる原因
の一つでもあったんですね。つまり……
★(第3章)
ある日、フィリピンの、あるNGO(非政府組織)に、地域の
人から「助けてほしい!」という声が届きました。聞くと、
小型飛行機による農薬の空中散布は、風向きによってプランテ
ーションとは関係のない場所にまで飛散させてしまうとのこと。
それは、子どもたちが学校に通う時間帯にまで及び……
★(第4章)
たとえば、バナナの「買取価格」。これが「多国籍企業」に
一方的に決められ、「生産者」には交渉する余地もありません。
そして、その契約期間が長い。なんと……15年から30年。
その間、ずっと同じ価格です! しかも、契約書の英文も読め
ない「生産者」たちが署名を……
まままま、どうぞ、本書の頁をお繰り下さい。